【第一部】 |
バスティーユを陥落させたことは、取るに足りない。 王座を打倒すべきである |
(バスティーユからの凱旋で撒かれたビラ) |
頼まれたわけではありません。僕の意志です |
(マルク・アントワーヌ・ジュリアン ・・・アンリにビラを咎められて) |
貴族として私は、王政を死守する。 なぜなら貴族とは、国王と王国を支えるべく生まれ、 その義務を持つ階級だからだ。 王座を守護しない貴族は、自己の存在意義を放棄する者だ。 私は義務を守り、貴族として生きる。もし時代がそれを許さず、王国が失われ、 国王の存在が否定されるならば、貴族だけが生き延びて何になる。 共に滅亡するのみだ |
(アンリ・デュ・ヴェルジェ・ドゥ・ラ・ロシュジャクラン陸軍少尉 ・・・グレーヴ広場にて決意を語る) |
よく覚えておけ。あれは、遠くまでいく男だからな |
(オレノ・ガブリエル・ミケッティ=ミラボー伯爵 ・・・ロベスピエールを評して) |
立憲派には、ふさわしくない言葉だ。趣味と仕事は分けておけ |
(ミラボー伯爵 ・・・ビラの文句に感銘を受けるラ・マルク伯爵を嗜めて) |
今、パリで最も過激な意見を、君に贈る |
(ミラボー伯爵 ・・・ロベスピエールにビラを贈って) |
あいつ 滅ぶべき種族、消滅させるべき階級。僕が必ずそうする。 必ずだ、してみせる |
(ジュリアン ・・・傲岸不遜なアンリに敵意を燃やして) |
私の傷を、あなたは負った。あなたが次に受ける傷は、私が負います |
(ニコラ・ラザール・オッシュ伍長 ・・・自分をかばったアンリに対して) |
いざという時にかばってもらうためには、側に置く必要があるだろう |
(アンリ ・・・ニコラを国王親衛騎兵隊に抜擢した理由を聞かれ) |
私の鞘と、二つの首ではどちらが重いか、答えは決まっている。 災難と思ってあきらめよう。 |
(アンリ ・・・訓練で鞘を砕かれるも、下士官達を慮って) |
どうか連れて行ってほしい。 君を頼りにしている僕らを、見捨てないでくれ |
(ジャコブ=国王親衛騎兵隊の平民兵 ・・・ニコラを頼って) |
やはり、貴賤の別存在するということだろう。 君は、貴族ではないからな |
(アンリ ・・・本心を押し隠し、副官・ニコラとの訣別) |
私が時刻を守らなかった原因を、少尉は、私の身分に求められるわけですか |
(ニコラ ・・・突然の罷免通告に納得いかず) |
もしお二人がいつか、国王軍と革命軍に分かれて対峙なさるような時が 参りましても、どうぞ剣を交えることだけはお避けになりますよう |
(アンリの執事 ・・・ニコラに餞別の小剣を手渡し、ニコラから鞘を受け取って) |
今後フランスがどう変わり、私の運命がどのようにめぐろうとも、生きている限りあなたを忘れない。鞘のないこの剣を見るたびに考える。願わくば、あなたも剣のない鞘を見て、私に思いをはせてくださるように。 そしていつか再び出会い、私の剣をあなたの鞘に収めて今日の礼を言うことが出来るように。夜ごとに祈ります |
(ニコラ ・・・アンリとの再会を期して) |
後の仕事は、君に任せた |
(速記記者ユリー ・・・逮捕され、後事をジュリアンに託して) |
人間は多くを得、多くを失う。最後に残るのは君自身だけだ。それだけが真の君のものだからだ。君のものでないものは、君をすり抜けていくだろう。仕方のないことだ。本当に君自身のものだけが、失われることもなく、奪い取られることもない。君が失ったという二人が君に残したもの、君の心の中に生き、実っているものこそが君のものだ |
(マクシミリアン・マリ・イジドール・ロベスピエール ・・・傷心のジュリアンを慰めて) |
どれほどの苦難を負っても、人民と真理のためにつくしたい。そのために妥協のない道を進み、生命さえも犠牲にして厭わない。アラスの選挙で選ばれ、このヴェルサイユに旅立つときに、そう誓った |
(ロベスピエール ・・・その理想はルソーと共に) |
僕も あなたのように生きたい |
(ジュリアン ・・・ロベスピエールへの傾倒) |
鞘だけあって、どうする。融通の利かない奴だ。一緒に持って行けばいいものを |
(アンリ ・・・訣別したニコラを気遣いながら) |
ありがとうございます。 大切な友人からのものです |
(ロベスピエール ・・・檄文ビラへの手がかりを得て) |
彼は、確かに優れた革命家かも知れない。だが難しい人物だ。 理想肌で禁欲的、神経質で厳格、人間としての幅が狭く独善的と言われている |
(マルク・アントワーヌ=ジュリアンの父 ・・・ロベスピエールを評して) |
早く行け。君の名を再び、この耳にする日を楽しみにしているぞ |
(デルヴィリー侯爵 ・・・乱戦のチュイルリーからアンリを逃がす) |
いつか必ず、我が名を人の口に上らせてご覧に入れます。お誓い申し上げます |
(アンリ ・・・侯爵の捨て身の行為に再起を誓って) |
合法の革命など、ありえない。革命はこれからも血を求めるだろう。だがいくたび血が流れようとも、その原因が厳粛であり、その結果が高邁ならば、後世はそれを評価するだろう |
(ロベスピエール ・・・1792国民公会、ジロンド派に反駁して) |
ロベスピエールの異名を知っているか。清廉の士だ。二つの住処を持つ人間からの手紙は、喜ばないだろうし読みもしないだろう |
(ル・バ ・・・1ジロンドに擁立されたジュリアンに対して) |