1237年・新春〜1238・盛夏 |
駆け込んできたグローステストはいくつかの知らせをもたらした。 一つは、かねてから牧畜文化向上に勤しんできたロンドンがついに「牧童の都」になったこと。これで食糧不足に陥る心配がない上に、所属武将の騎馬特性の向上などが望めるようになった。 しかし、その慶事を吹き飛ばすほどのバッドニュースもあった。小アジアに亡命していたビザンツ貴族たちの国ニケーア帝国の首都・ニケーアがアイユーブ朝軍の猛攻で陥落、滅ぼされたというのである。 |
ヘンリー3世 | 何と、ニケーア帝国が滅亡? あの古のローマ帝国の流れを汲むニケーア帝国が・・・ |
ロングスウォード | しかもよりによってサラセン人(アラブ系ムスリムの蔑称)の所為でか!! (・・・陛下がのんびり構えているから、聖地を押さえているアイユーブ朝が益々強大化しやがったぜ) |
ヘンリー3世 | むむ、・・・列強がいよいよ本格的に外征に乗り出してきたと言うことであるな。 |
グローステスト | はい。極東方面ではモンゴル帝国・鎌倉幕府の軍事行動が非常に活発であります。それぞれ金王朝、高麗王国を激しく攻め立てております。金は名将・完顔陳和尚を中心に健闘しておりますが、高麗は・・・恐らく早晩滅亡するものと思われます。 |
ウルリヒ | ・・・モンゴル帝国が極東方面を統一すると何かと厄介ですな。鎌倉幕府の頑張りに期待したいところでござるが・・・ 我が国もうかうかしていられませんぞ。幸い、西欧最強国の神聖ローマ帝国は鳴りを潜めていますが、いつ領土拡大に乗り出すか・・・ それまでにもう一都市、領土が欲しいところでござるな。 |
ロングスウォード | 俺も賛成だ。それじゃ、殿下方の内、お二方が成人なさったことだ、早速パリ遠征に向かおうぜ! |
ウルリヒ | いえ、国王武将(動員兵力5000)のルイ9世が守るパリ攻略は容易ではござらん。それよりも同郷将軍(動員兵力3000)が守将を務めるケルンの方が攻略は容易にござる。神聖ローマ帝国の本拠地は遠くイタリアの地にござる故、こちらの攻略も考慮に値するものと存知まする。 |
ロングスウォード | どこだって良い。陛下、ここらで攻勢に出ないと状況は好転しませんぜ。ご決断を! |
ヘンリー3世 | ・・・判った。もう二人、王子が成人した暁には大陸に侵攻をかけることとする。未だにフランスからの攻撃は続いておる。各人、それまで怠りなく準備を進めよ。 |
1238年・秋〜同年・冬 |
懐妊していた正妃・エリーナが男子を出産。いつもは夫に子供の命名を任す女性だったが、今回ばかりは自ら進んで命名した。 |
1239年・新春〜1239・秋 |
年明けにロンドンの武器文化度が100を突破、「武具の都」となる。いきなり「武具の都」のボーナス効果で、主力武将・ウルリヒの弓兵特性が+1(B→A)。「カーライル伯」が成人し、王族武将が4名となる。「武具の都」には部隊の攻撃力を引き出す効果がある。国内の急戦派の武将たちは「すわ、出陣」と色めき立った。 |
ロングスウォード | これで大陸侵攻の準備は整いましたぜ、直ちに出陣のご命令を。 |
ヘンリー3世 | そうじゃな、者共出陣の準備にかかれ。目標、フランス王国首都・パリ! |
ウルリヒ | お待ち下され! |
ヘンリー3世 | どうしたのじゃ、ウルリヒ殿。 |
ウルリヒ | 物見の報告によれば、現在北方のノルウェー王国の大軍が大挙、ケルンを目指して南下中にございます。ケルンの兵力から考えるに恐らく撃退されるでしょうが、ケルンが消耗することは間違いございません。消耗した後、こちらを討つのが上策かと存じます。 |
ロングスウォード | えらく慎重だな、フランス攻めだって充分に勝機があるじゃないか? |
ウルリヒ | 「勝機がある」程度で国運をかけるのはあまりに無謀にござる。確実に勝てる状況になるまで待つべきにござる。 |
ロングスウォード | そんな弱腰じゃ、いつまでたっても大陸進出なんてかないっこないぜ! 戦争ってのはな、「ここ」って時には博打に打って出なけりゃ、「勝ち」は拾えないんだよ!! |
ウルリヒ | それは「戦闘」の話にござる。「戦争」には一国の興廃が懸かっておるのでござるぞ、左様に軽々しく考えるものではござらん!! |
ロングスウォード | そうは言うけどな、列強はどんどん領地を拡大してやがるんだぜ。このまま手をこまねいてみていたら、そのうち取り残されちまう! |
ウルリヒ | ケルンの消耗を待つだけでござる。王族武将が守るパリを落とすには、ケルンからの助攻が必要にございます。 |
ロングスウォード | ・・・判ったよ。ただし、ひとつ条件がある。 |
ウルリヒ | 何でござる? |
ロングスウォード | ケルン遠征隊の先鋒の任、お前には譲れないってことだ。 |
ウルリヒ | (破顔)無論でござる。陛下、宜しゅうござるな? |
ヘンリー3世 | よきに計らえ。 |
ウルリヒの献策に従って、ケルンの消耗を待つイギリス王国首脳たち。しかし、事態は意外な方向に推移していった。何と、文化レベル・将軍の質共に低いノルウェー王国軍が予想外に善戦。ケルンから出撃してくる神聖ローマ帝国の迎撃部隊をことごとく撃退してケルン城壁に何度も肉薄する。 そして1239・秋。遂にノルウェー軍がケルンの宮殿破壊に成功、世界屈指の強豪・神聖ローマ帝国の都市ケルンは力尽きて落城した。半年以上に及ぶ激戦で田畑・市街は見る影もなく荒廃しており、都市の「規模」2/8、備蓄金・兵糧も3000程度の惨状を呈していた。ノルウェー軍も現地での補給の困難を悟って、3部隊を残して主力軍を首都・ベルゲンに退却させた。 ・・・ウルリヒはまさにこの瞬間を狙っていたのである。 |
登場武将紹介 |
◆完顔陳和尚 |
戦闘95 知謀83 政治36 戦闘特技「機動」「連射」「伏兵」 内政特技なし 兵科適性 歩兵B 弓兵A 騎馬S 水軍E 金の名将。大昌原の戦いでモンゴル帝国の猛将・スブタイを寡兵で退けるなど活躍したが、善戦虚しく虜囚となった。投降を進められたがこれを断固拒否し、処刑された。ゲームでは弱体化した金王朝の希望の星。すこしでも動員兵力を増やすために姫を嫁がせて婿将軍としたい。ちなみにこのリプレイでは金王朝滅亡後は南宋に仕官。モンゴル帝国・鎌倉幕府相手に奮戦し、南宋の守護神的存在となっており、極東方面におけるモンゴル帝国の軍事行動を掣肘してくれている。 |
◆エドワード1世 |
戦闘90 知謀83 政治78 戦闘特技「機動」「突撃」「城攻」 内政特技「商業」「建設」 兵科適性 歩兵A 弓兵A 騎馬B 水軍D ヘンリー3世の長男。シモン=ド=モンフォールら反乱諸侯を倒し、実権を掌握。「ウェストミンスター条例」を発して「模範議会」を開くなど「イングランドのユスティニアヌス」と称された。十字軍に参加して勇名を馳せ、スコットランドやウェールズとの戦いでも活躍して危機に瀕していたプランタジネット王朝を確立した。「イングランド史上最良の君主」と称揚されている。 このリプレイでは中盤から主役を務める予定。今回も3歳児にしてウルリヒを唸らせるほどの武術の才を見せつけている。使用感としては戦闘特技に「連射」「火攻」がないのが非常に残念。ガンガン戦闘するからすぐに習得できますけど(^_^;) |
◆ルドルフ1世 |
戦闘82 知謀83 政治77 戦闘特技「突撃」「連射」「城攻」 内政特技「農耕」「外交」「登用」 兵科適性 歩兵A 弓兵B 騎馬A 水軍E シュタウフェン家に忠実なハプスブルク家出身の貴族。後に勢力均衡を図るドイツ諸侯から神聖ローマ皇帝に推戴される。混迷を極めていたドイツ国内をある程度収拾し、後のハプスブルク家の基礎を築いた傑物である。ゲームでは開始数年でドイツに出現するので、史実通りそのまま神聖ローマ帝国に登用されることが多い。今回のリプレイでも神聖ローマ帝国の将として活躍していたが、チュニス攻略に失敗して捕虜登用されてしまう。その後、神聖ローマ帝国からの猛攻を凌いでハフス朝の命脈を数年間長らえさせた。「連射」特技を持つため、防衛戦では圧倒的な強さを発揮する。 |
「逆襲のプランタジネット」トップに戻る | 第2章に戻る・第4章に進む |
他、「グロスター伯」「マリア」誕生。ロングスウォードの言葉通り王子「ケント伯」「ノーフォーク伯」、そして1238年には「ノッチンガム伯」成人。・・・ただ、低いロンドンの文化レベルとヘンリー3世の能力値を反映して今一つの能力値だった。 そして案の定、高麗王国が鎌倉幕府の猛攻の前に滅亡。 ドーヴァー海峡をはさんでの英仏攻防は止むことはない。ウルリヒ隊・ロングスウォード隊が迎撃にあたる。中でもロングスウォード隊の活躍は目覚ましく、戦闘特技「連射」を習得。戦闘力に磨きがかかった。 |
エリーナ | この子は「エドワード1世」と名付けたいと思いますの。 |
ヘンリー3世 | 珍しいの、そなたの方から進んで王子の名前を考えてくるなど。 |
エリーナ | ええ。でも、この子は将来、このイギリス王国を背負って立つことになると思いますの。 |
ヘンリー3世 | そうか、そなたがそれほど言うなら養育はウルリヒ殿とロングスウォードに申しつけるとしよう。 両名、くれぐれも宜しく頼むぞ。 |
ロングスウォード ウルリヒ |
ハハッ! |
この「エドワード1世」こそ、祖父ジョン、父ヘンリー3世の失政で起こった国内紛争をことごとく平定、危機に瀕していた王権を再建し、「イングランド史上最良の王」と讃えられる賢王である。このリプレイでもイギリス王国飛躍に大きく貢献することになるのだが・・・それはまた後の話。 同時に「スウォンジー伯」誕生。やはり、生まれてくる子供が男の子に偏っている様な気がする・・・ この冬、長年にわたって完顔陳和尚を中心に開封に拠って抵抗を続けてきた金王朝が遂に力尽きて滅亡。国王・哀宗は処刑され、モンゴル帝国の登用を拒否した完顔陳和尚は南宋に落ち延びた様だ。 |
ヘンリー3世 | ウルリヒ殿の狙い通りであるな。ノルウェー軍があそこまで善戦するとは思いもよらなんだが・・・ |
ウルリヒ | 御意。しかしこれでケルン攻略はより容易くなりもうした。 しかも、神聖ローマ帝国の主力軍も現在チュニス攻略に手を焼いているとか。主力武将のルドルフ1世がハフス朝に捕虜登用されて、このルドルフ1世が頑強に抵抗していてチュニス攻略を困難にしている様子にござる。 |
ヘンリー3世 | それはますますもって侵攻の好機よな。直ちに遠征部隊を編成せよ、ノルウェー軍が本国で補給を終える前に何としてもケルンを占領するのだ! |
ロングスウォード | 待ってたぜ! 先鋒は勿論この俺が務めるとして、あとの塩梅はどうなってるんだ? |
ウルリヒ | フランスよりの侵攻軍はそれがしが退けまする。 ケント伯・ノーフォーク伯・ノッチンガム伯・カーライル伯を卿の後続部隊として派遣致しましょう。 |
ロングスウォード | よし、俺が敵迎撃部隊を退けた後に、殿下方の包囲攻撃でケルンを落とすんだな? |
ウルリヒ | 如何にも。 |
ロングスウォード | 任せておけ、ウルリヒ殿こそカエル野郎ども相手におくれをとるんじゃねーぞ! 陛下、それではちょっくら行ってきますぜ。 |
ヘンリー3世 | うむ、愚息共の面倒頼んだぞ。 |
1240年・新春〜1240・盛夏 |
1240・新春。「ヨークシャー公」と待望の長女「メアリ」成人。かねての宣言通り、メアリ姫はウルリヒに降嫁。ロンドン・ウェストミンスター寺院では大々的に華燭の典が催された。 一方、ロングスウォード率いるケルン遠征軍はケルンに肉薄。ロングスウォード隊が迎撃部隊を鎧袖一触に打ち破って開いた血路から、4王子直率の近衛部隊がケルンを包囲。自動戦闘で架空武将(同郷将軍)が守将を務めるケルンを難なく占領した。「欠地王」ジョン以来、大陸の全領土を失っていたプランタジネット朝イギリスが再び大陸に領土を獲得した瞬間であった。 なお、全軍そのまま軍事ユニットを「解体」。これで軍資金・兵糧がケルンへ補給されたことになる。4王子をそのままケルン防衛に残してロングスウォードは未だに続くフランス王国との戦いのためにロンドンに召還した。 |
ヘンリー3世 | たった今、ロングスウォードから連絡が入った。「サクセンシュウリョウ、コレヨリキトウス」とのことだ。 慎重に過ぎると思うていたが、これも全てウルリヒ殿の沈着な献策の賜物よな。 ウルリヒ殿も晴れて婿将軍となられた、いや実にめでたい。順風満帆とはこのことよ。 |
ウルリヒ | 過分なお言葉まことに畏れ入りましてございます。 |
メアリ | 父上、ウルリヒ様は弟・エドワードの面倒(教育イベント)まで見て下さりますのよ。 |
ヘンリー3世 | そうであったか。で、あれの天分は如何ほどのものかな、ウルリヒ殿? |
ウルリヒ | 恐ろしいほどの大器にございます。武術の腕は3歳児にしてすでにそれがしとほぼ互角。 成人されれば古のアレクサンダー大王、ポンペイウスにも引けをとらぬ勇将となりましょう。 |
グローステスト | (・・・エドワード1世殿下はバケモノか?) 陛下、新たに領地となりましたケルンはいかが経略される御存念で? |
ヘンリー3世 | そうじゃな・・・ロンドンとの交易を考えて、「牧畜」「武器」以外の文化度を高めるのは無論として・・・ ケルンは河川に恵まれておる故、「農耕」ははずせんな。あとは「戦術」文化を向上させるために練兵場を建設しようと思うが、如何かな先生? |
グローステスト | 結構かと存知まする。 |
コーンウォール伯 | 何やら大国の君主らしくなってきたではないですか、兄上。 (・・・最近出番がないな、おれ) |
ヘンリー3世 | ふふふ、左様であろう? しかし、あのヒヨッコ共だけにケルンを任せるのも不安でな。そこでコーンウォール伯、社交家のそちにケルンを任せたいと思う。史実に於いて神聖ローマ皇帝にまでなった力、存分に発揮してこい。 |
ウルリヒ | 暫くは内政に専念できましょうが、ケルンを奪われた神聖ローマ帝国の動きがここに来て活発になって参りました。ケルンの武将がそのままジェノヴァに配属された模様で、ジェノヴァからしきりに軍事ユニットがヴェネチア攻撃に派遣されておりまする。ヴェネチアも善戦しておりますが、あの猛攻の前ではそう長くは持ち堪えられるとは思えませぬ。ヴェネチア共和国が滅べば次はハンガリー王国のペストが陥落しましょう。ハフス朝・チュニスもパレルモからの攻撃で疲弊しきってござる。次なる敵は神聖ローマ帝国と・・・ |
コーンウォール伯 | 「漁夫の利」をしめられたノルウェー王国、ということですかな? ケルン防衛も一筋縄ではいかんということですな。 |
苦節10年、漸く大陸への橋頭堡を築いたイギリス王国軍。だが、世界第二の国力を誇る神聖ローマ帝国は早くも陣容を立て直して捲土重来を期していた。果たしてケルンを維持できるのか? 次回、「第4章 時間よ、止まれ」に続く。 |